Excel関数、ビジネスパーソンが必ず押さえるべき10の基本スキル

Excelは単なる表計算ソフトにとどまらず、日本のビジネス現場で業務効率や成果に直結する重要なツールです。しかし、その機能は膨大で、すべてを使いこなす必要はありません。実際の業務で頻繁に使われ、かつ習得すべき関数は限られています。本記事では、日々の業務で即戦力となる基本関数10選を紹介し、Excel初心者から中級者までが実務に活かせる知識を提供します。

1. SUM – 集計の王道

SUM関数は、指定したセル範囲の合計を求める最も基本的な関数です。たとえば「A1からA10までの合計」は =SUM(A1:A10) で簡単に算出できます。経理部門では月次売上、営業部門では訪問件数の集計など、職種を問わず日常的に使われています。

2. AVERAGE – 平均値の算出に必須

AVERAGE関数は、数値の平均を求める関数で、成績評価や目標達成率の計算などで広く使われます。たとえば =AVERAGE(B2:B11) のように入力すれば、範囲内の平均が自動で算出されます。人事考課、KPI管理など幅広い場面で活躍します。

3. IF – 条件分岐の基本

IF関数は、ある条件に応じて異なる値を返す分岐処理の基礎です。例として、=IF(C2>=70,”合格”,”不合格”) と入力すれば、70点以上なら「合格」、それ未満なら「不合格」と表示されます。成績判定、在庫チェック、価格帯別の対応などに不可欠です。

4. VLOOKUP – 縦方向のデータ検索に最適

VLOOKUP関数は、縦方向にデータを検索して該当する値を返す関数で、顧客情報や商品情報の検索で頻繁に利用されます。例えば、社員番号から名前を検索する場合、=VLOOKUP(“12345”,A2:D10,2,FALSE) のように設定します。ただし、検索列は左端に限定される点に注意が必要です。

5. HLOOKUP – 横方向のデータ検索に対応

HLOOKUP関数は、横に並んだデータの中から該当する値を抽出します。年度別の業績管理や四半期ごとの在庫推移など、横並びデータの活用に適しています。例:=HLOOKUP(“Q2”,A1:D4,3,FALSE) は「Q2」に対応する3行目の値を返します。

6. INDEX – 柔軟な位置指定の取り出し

INDEX関数は、範囲の中から指定した位置のセル値を返す関数です。たとえば、=INDEX(B2:D6,3,2) は3行2列目の値を返します。VLOOKUPより自由度が高く、複雑な表でも対応可能です。特に大量データを扱う分析業務に有効です。

7. MATCH – 値の位置を検索

MATCH関数は、指定した値がセル範囲の何番目にあるかを返します。=MATCH(90,A1:A10,0) と入力すれば、90という値が何番目にあるかを示してくれます。INDEXと組み合わせることで柔軟な検索が可能になり、実務レベルのレポート作成で重宝します。

8. COUNT / COUNTA – データの個数を数える

COUNT関数は数値セルの数、COUNTA関数は空白以外のセル数をカウントします。たとえば =COUNTA(A2:A100) で入力すれば、記入済みセルの数を返します。アンケート集計、入力チェックなどに使われる基本関数です。

9. TEXT – 数値や日付の書式を自在に調整

TEXT関数は、日付や数値を任意の書式に変換します。例:=TEXT(TODAY(),”yyyy年mm月dd日”) で今日の日付が「2025年07月22日」のように表示されます。帳票作成、レポート自動生成、請求書出力時に欠かせない関数です。

10. CONCAT / TEXTJOIN – セルを結合して表現力を強化

CONCAT関数は複数のセルを結合します。たとえば =CONCAT(A2,B2) でA2とB2の内容が一つのセルに表示されます。さらに高機能な TEXTJOIN関数では区切り文字も指定可能で、=TEXTJOIN(“, “,TRUE,A2:C2) のように使うとカンマ区切りのデータを整形できます。

実際の業務での活用事例

東京都内のある中堅IT企業では、新人教育の一環としてIF、VLOOKUP、INDEX-MATCHを組み合わせた勤怠管理表を導入。導入後は月間集計作業の時間が約70%短縮され、上司のチェックも自動化されました。このように、関数の理解は業務効率を大きく左右します。経済産業省の調査によると、Excelスキルを業務に活かしている企業は、年間あたり約15%の工数削減に成功している事例も確認されています。

Excel上達のための学習ポイント

  • 関数単体ではなく、実際の業務と関連付けて学習すること
  • IFとAND/OR、INDEXとMATCHのような組み合わせ関数に注目
  • ルーチン業務はマクロや関数で自動化する習慣をつける
  • 理解が難しい場合はYouTubeよりもMicrosoft公式の解説を参照

さらに、e-Stat(政府統計ポータル)や地方自治体のオープンデータを活用し、実務に即したデータで演習を行うのも効果的です。

関数の数ではなく、使いこなしがカギ

Excelを「使いこなす」とは、多くの関数を暗記することではなく、状況に応じて適切な関数を使える判断力を意味します。条件処理やデータ統合、自動化は、わずか10個の関数でも実現可能です。大切なのは、知っていることよりも「使える」ことです。

Excelをビジネスの武器に変える

今日からでもExcel活用を始めましょう。SUMやIFのような基本から、VLOOKUPやTEXTJOINといった応用まで、一つずつ実務に取り入れることで、仕事の精度とスピードが向上します。最初の一歩は、ただの「表計算」を「ビジネスツール」へ変えること。変化は今この瞬間から始まります。