1日5分!デスクでできるコアトレーニング:オフィスで姿勢と体幹を整える習慣

日本のオフィスワーカーの多くは、1日に7時間以上座ったままの時間を過ごしています。運動不足に加え、前かがみの姿勢が続くことで、腰痛や肩こり、血流悪化、さらには姿勢の歪みにもつながりやすくなります。ですが、着替えや器具を使わずとも、たった5分の椅子トレーニングで、これらの不調を予防・改善することができます。

長時間座りっぱなしによる健康リスク

長時間同じ姿勢で座ることで、骨盤周りや腹部の筋肉がうまく使われず、体幹の安定性が損なわれます。厚生労働省の調査によると、30〜50代の腰痛発症率は年々増加しており、主な原因はデスクワークによる長時間の座位姿勢です。また、下半身の血流が滞ることで、むくみや下肢静脈瘤のリスクも高まります。

「コア(体幹)」って何?

コアとは、腹筋だけを指すのではなく、腹横筋・多裂筋・骨盤底筋・横隔膜といった体の深層部の筋肉群を含む概念です。これらは姿勢を支え、体全体の動きを安定させる働きを担っています。つまり、見た目よりも「機能性」を重視したトレーニングがコア強化の目的です。

オフィスワーカーこそ必要な「椅子トレ」

一般的な腹筋運動やプランクは、床に寝るスペースや動きやすい服装が必要で、職場では実行が難しいものです。反対に、椅子に座ったまま行える運動なら、服装やスペースに左右されず、気軽に実践できます。実際、国立健康・栄養研究所の報告でも、「短時間で繰り返しやすい運動は継続率が高く、効果も大きい」とされています。

デスクでできる体幹トレーニングの基本原則

  1. 腰に負担がかからない範囲で行う
  2. お腹を締めて姿勢を安定させる意識を持つ
  3. 呼吸を整えながら、ゆっくり丁寧に動作する
  4. 1〜2セットでOK、無理せず継続を重視
  5. 毎日行って、体の変化を記録する

これらを守れば、激しい運動をしなくても、深層筋をしっかり刺激できます。

デスクワーク中でもできる5分間トレーニング

1. 片尻リフト

  • 方法:椅子の背もたれに寄りかからずに背筋を伸ばして座り、一方の臀部に力を入れて、もう片方を軽く浮かせる。左右交互に行う。
  • 回数:左右10回ずつ×2セット
  • 効果:臀部や腰部の筋肉を活性化し、下半身の血行促進にも効果的

2. 腹式呼吸で腹部引き締め

  • 方法:鼻から息を吸い、口から吐きながらお腹を背中に引き寄せるようにへこませる。そのまま5秒キープ。
  • 回数:10回
  • 効果:腹横筋が活性化し、体幹の安定性が向上

3. ひざ持ち上げ

  • 方法:両手で椅子を支えながら、片膝を胸に引き寄せるようにゆっくり持ち上げる。背中は丸めないよう注意。
  • 回数:各脚10回×2セット
  • 効果:下腹部を鍛えると同時に、内臓の働きを助ける

4. 足のクロスリフト

  • 方法:足をクロスさせた状態で、両足を軽く持ち上げる。ゆっくり戻して左右交互に行う。
  • 回数:左右10回ずつ
  • 効果:骨盤の安定と側腹部の筋肉にアプローチ

5. 上体のツイスト

  • 方法:両手を肩に置き、上体をゆっくり左右にひねる。目線は正面をキープ。
  • 回数:左右各10回
  • 効果:脊柱の柔軟性を高め、腰回りのインナーマッスルを鍛える

継続しやすくするためのコツ

  • 時間を固定する:始業前、昼食後、退勤前など、ルーティン化しやすい時間帯を選ぶ
  • リマインダーアプリを活用:「リズミー」や「すこやか時間」などのアプリで通知を設定
  • 軽いストレッチと併用する:首や肩のストレッチと合わせると全身がスッキリ

効果を実感するための記録方法

  • 姿勢の変化、腹部の引き締まり、腰の違和感の有無を週ごとに記録
  • 動作が楽になってきたら、回数を増やしたりおもりを使用して負荷を調整
  • 同僚と一緒に取り組み、継続のモチベーションに

専門家の見解

東京医科歯科大学病院の理学療法士・佐藤明美氏は「短時間でも正しい姿勢と動きで行えば、座りっぱなしの悪影響を十分に予防できる。特に椅子を活用した運動は、無理なく続けやすく、効果も期待できる」と述べています。

小さな習慣が大きな変化に

このルーティンは義務ではなく、自分への投資です。たった5分の積み重ねが、姿勢・快適さ・集中力を劇的に変える可能性を秘めています。今座っているその椅子から、健康習慣を始めてみませんか?