スーパーやペットショップのキャットフード売り場で、ラベルを読んで混乱した経験はありませんか?「グレインフリー」「粗たんぱく質38%」「AAFCO基準に準拠」など、専門的な用語が並び、戸惑う飼い主も少なくありません。しかし、フードの裏面を正しく読むスキルを身につければ、宣伝文句に惑わされることなく、愛猫の健康を第一に考えた選択が可能になります。本記事では、日本の飼い主向けに、キャットフードのラベルを読み解くポイントをわかりやすく解説します。
表記内容はどう見る?パッケージの裏が重要
パッケージの前面には魅力的なキャッチコピーが並びますが、実際に確認すべきなのは裏面です。原材料表示、成分分析値、栄養基準への適合表示、製造元情報など、すべて猫の健康に直結する要素です。日本では、農林水産省のペットフード安全法により表示ルールが定められており、輸入製品においてもAAFCO(米国飼料検査官協会)やFEDIAF(欧州ペットフード産業連盟)の基準に準拠しているかが目安となります。
原材料表記の順番に注目
原材料は、加工前の重量が多い順に記載されています。たとえば「鶏肉」と記載されていれば水分を含む生肉が多く使用されていることを意味します。一方、「チキンミール(乾燥鶏肉粉)」は水分が抜かれており、少量でも高たんぱくである点が特徴です。
特に注意すべき記載:
- 「肉類副産物」:内臓や骨など含まれるが、どの部位かは明記されず品質の判断が難しい
- 「コーングルテンミール」:植物性たんぱく質で、猫には適していないことが多い
- 「加水分解たんぱく質」:アレルギー対策に使われるが、由来が不明確なことも
猫は完全な肉食動物のため、動物性原料が第一原料として表記されていることが理想です。
成分分析値(保証成分)の見方
保証成分は、製品中に含まれる主要栄養素の割合を示すもので、以下のようなバランスが望ましいとされています:
成分 | 役割 | 目安の割合 |
---|---|---|
粗たんぱく質 | 筋肉の維持 | 30%以上 |
粗脂肪 | エネルギー源 | 15〜20% |
粗繊維 | 消化サポート | 3〜5% |
粗灰分 | ミネラル残留物 | 7%未満 |
成猫では高たんぱくが推奨されますが、腎臓病などの持病がある場合は適切な調整が必要です。
AAFCOやFEDIAFなどの基準表記の意味
製品に「AAFCO基準に適合」「FEDIAF栄養基準に準拠」などの文言があれば、一定の栄養バランスが満たされている可能性が高いです。
「本製品はAAFCOが定めるすべてのライフステージに対応した栄養基準を満たしています。」
ただし、AAFCOやFEDIAFはいずれも認証機関ではなく、表記はあくまでメーカーによる自己申告であることに留意が必要です。
機能性成分の実力は?
最近のフードには、健康サポート成分として以下のような素材が配合されていることがあります:
- タウリン:猫にとって必須アミノ酸。最低でも0.1%以上が望ましい
- L-カルニチン:脂肪燃焼をサポート。肥満気味の猫に効果的
- プロバイオティクス(乳酸菌など):腸内環境の維持に役立つが、加熱処理や保存状態による活性低下に注意
含まれているだけでなく、どれだけの量が有効な形で含有されているかを見極めることが重要です。
ライフステージや健康状態に合った選び方
キャットフードには「全年齢用」「成猫用」「シニア用」などがあります。ライフステージに合ったものを選ぶことが、健康維持のカギです。
- シニア猫:たんぱく質は高め、リンの量は低めの配合が好ましい
- 肥満猫:カロリー控えめでL-カルニチンを含むダイエット設計の製品を選ぶ
添加物・保存料・香料のチェックポイント
人工保存料(BHA、BHT、エトキシキンなど)は避け、天然由来の保存料(ミックストコフェロール=ビタミンEなど)を使用している製品を選ぶと安心です。着色料や香料も本来猫には不要な成分です。
特に、ラベル下部の「添加物」欄に「人工保存料・着色料無添加」と記載があるか確認しましょう。
国産と輸入製品の違いは?
日本国内のフード(例:アイシア、日清ペットフード、ユニ・チャーム)は表示義務が明確で安全基準も高め。一方、輸入製品(例:ロイヤルカナン、ヒルズ、オリジン)は選択肢が豊富でライフステージに応じた製品が多いですが、輸送・保存の観点で注意が必要な場合もあります。
購入時はペットゴー、楽天ペット館、Amazon.co.jp、チャームなどのECサイトでレビューを確認するのも参考になります。
ブランド名より中身を見る目を養おう
知名度が高いからといって必ずしも品質が良いとは限りません。以下のような視点で選ぶことが、飼い主としての責任です:
- 主原料や添加物が具体的に記載されているか
- ライフステージに合致しているか
- 原材料や保存料の情報が開示されているか
パッケージデザインよりも中身の透明性と実質的な内容を重視しましょう。
キャットフードのラベルは、ただの記載ではなく愛猫の健康を守るための“地図”です。たった数秒ラベルを読むだけで、愛猫の未来が大きく変わるかもしれません。今日からはパッケージの裏をめくり、フード選びのプロを目指しましょう。