犬糸状虫症(フィラリア症)は、蚊を介して感染し、心臓や肺に深刻なダメージを引き起こす寄生虫疾患です。初期段階ではほとんど症状が現れないため、発見が遅れると長期の治療と高額な医療費が必要になります。本ガイドでは、年間を通じた毎月の投薬計画、体重別の目安投与量、実際の事例紹介、専門家の見解を踏まえ、安心して愛犬を守るためのポイントをわかりやすく解説します。
なぜフィラリア症予防が欠かせないのか
屋内飼育の犬でも、窓の開閉や散歩中に蚊に刺されるリスクがあります。予防をしなかった場合、3年程度でほぼ100%の感染率になると報告されており(ある動物病院調査)、治療には成虫駆虫薬の注射や休養が必要で、総額10万円以上かかるケースも少なくありません。一方、月1回の予防薬投与は数千円~数万円で済み、適切に継続すれば感染リスクを95%以上減少させるとされています(アニコム家庭どうぶつ白書2024)。
月1回の投薬スケジュール設定
日本小動物獣医師会のガイドライン(2025年版)では、季節を問わず年間を通じて毎月1回の投与を推奨しています。暖かい季節だけでなく、冬でも蚊が活動する日があるため、一度でも投与を怠ると幼虫(L3/L4)が成長し、感染につながる恐れがあります。
- 投与日を固定する:毎月1日、15日など、覚えやすい日に設定します。
- デジタルリマインダー活用:スマートフォンのカレンダーや『ペットカルテdog』アプリで通知を受け取ります。
体重別の投与量目安
製品により濃度や剤形が異なるため、必ずパッケージの指示や獣医師の指導に従ってください。一般的な経口剤の参考表は以下の通りです。
犬の体重(kg) | 1回投与量目安(mg) | 頻度 |
---|---|---|
1~5 | 6~12 | 月1回 |
5~10 | 12~25 | 月1回 |
10~25 | 25~50 | 月1回 |
25以上 | 50以上 | 月1回 |
ポイント:ペット用体重計で3カ月ごとに体重を確認し、変動があれば獣医師へ相談しましょう。
実例紹介:東京在住のさくらちゃんの場合
東京都心部で暮らすミニチュアダックスフントの「さくら」(体重6kg)は、毎月5日に投与を実施。冬季に投与をうっかり忘れた際、2カ月後の健康診断でフィラリア抗原反応が陽性となり緊急治療が必要でした。その経験から飼い主は『ペットカルテdog』アプリでリマインダーを設定し、今では1年間で一度も忘れることなく予防が継続できています。
投与前後のチェックリスト
- 健康状態の確認:投与前に発熱や嘔吐、元気消失がないか観察。
- 遡及的検査:6カ月以上中断していた場合は抗原検査を行ってから再開。
- 正確な体重把握:自宅または動物病院で測定。
- 投与しやすい工夫:ごほうびやフードに混ぜる。
- 記録を残す:日付、投与量、体調変化をノートやアプリに記録。
年1回の抗原検査の重要性
予防薬を継続していても、まれにブレークスルー感染が起こるため、年に1回は動物病院で血清抗原検査を受けましょう。早期発見により、治療の負担やリスクが大幅に軽減されます。
公式ガイドラインと参考データ
- 日本小動物獣医師会(2025):年間を通じた月1回投与を推奨。
- アニコム家庭どうぶつ白書2024:予防薬継続者の感染率は0.03%にまで低下。
- 地方病予防研究所報告:予防未実施犬の感染率は3年でほぼ100%。
まとめ:愛犬の生涯を守るために
フィラリア症の予防は薬代と手間を最小限に抑えつつ、命を守る最も効果的な方法です。月1回のスケジュールを守り、体重別投与量を正確にすること、定期検査を欠かさないことで、安心した犬との生活を長く楽しみましょう。疑問点は獣医師に相談し、最新情報を常にチェックしてください。