旅行中のネット接続、あなたはどうする?
海外旅行を計画する際、「現地でスマホはどう使うの?」という疑問は多くの人が直面します。地図検索、翻訳アプリ、公共交通機関の確認、レストラン予約、ホテルのチェックインなど、あらゆる場面でインターネット接続は欠かせません。現地で安定したモバイル通信を確保することは、トラブル回避やストレス軽減にも直結します。
現在、主な通信手段は「日本のキャリアの海外ローミング」「現地SIMカードの購入」「eSIMの利用」の3種類です。この記事では、それぞれの特徴を料金、利便性、接続の安定性、対応エリアなどの観点から比較し、自分に合った最適な方法を見つける手助けをします。
1. 海外ローミング:最も簡単だがコスト高に注意
設定不要で即使えるが、コスパは微妙?
ローミングは、日本の通信会社(NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルなど)の契約を海外でもそのまま使えるサービスです。特別な設定は不要で、出国前にプラン申込をするだけで、現地到着後すぐにネットに接続できます。ただし、1日あたり980〜1,280円の定額制が一般的で、長期旅行になると出費がかさみます。通信速度に制限(最大1Mbps〜3Mbps)を設けているキャリアも多く、動画視聴や大容量ファイルのやり取りには不向きな場合があります。
- メリット:設定不要、日本の電話番号を保持できる
- デメリット:料金が高め、速度制限がある
- おすすめのケース:短期出張、家族や仕事の連絡を頻繁に取る人
2. 現地SIM:コスパと容量のバランスが◎
リーズナブルな料金で大量データ通信が可能
現地SIMカードは、訪問先の通信会社が提供するプリペイド型SIMで、空港や駅、コンビニ、スマホショップなどで簡単に購入できます。SIMフリー端末が必須で、SIMカードの差し替えとAPN設定が必要です。例えばタイでは「AIS」や「TrueMove」などがあり、1週間5GBで約250バーツ(約1,000円)程度が相場。日本のローミングと比べて半額以下で使えるケースも少なくありません。
- メリット:大容量データが低価格で利用可能
- デメリット:設定の手間、言語バリアの可能性
- おすすめのケース:1週間以上の滞在、複数都市を巡る旅行
3. eSIM:物理SIM不要、スマートな選択肢
アプリ一つで通信準備完了
eSIMは、物理的なSIMカードが不要なデジタルSIMで、QRコードやアプリを通じてスマートフォンにプロファイルをインストールするだけで通信が可能です。iPhone 11以降、Google Pixel、Galaxy S20以降など多くの端末が対応しており、渡航前に自宅で設定できるのが魅力です。AiraloやNomad、UbigiなどのeSIM専門サービスでは、アメリカ5日間3GBで約980円といったプランも存在し、非常にリーズナブルです。
- メリット:SIM交換不要、即時利用可、複数国対応プランあり
- デメリット:端末によっては未対応、通話やSMS非対応プランが多い
- おすすめのケース:データ通信メインの旅行者、最新スマホ所有者
4. 料金の比較:どの手段が最もお得か?
各方式の1日あたりの平均費用
方式 | アメリカ | 韓国 | フランス |
---|---|---|---|
ローミング | 1,280円 | 980円 | 1,280円 |
現地SIM | 600〜1,000円 | 300〜500円 | 500〜800円 |
eSIM | 400〜800円 | 300〜500円 | 350〜700円 |
短期ではローミングの手軽さが勝るが、5日以上の旅行ではeSIMや現地SIMのコストパフォーマンスが圧倒的に高くなります。
5. 設定は誰でもできる?難易度を検証
ローミングは簡単、eSIMもアプリで完結
ローミングは出国前の申込さえ済めば、あとは自動接続で何も設定が不要です。現地SIMは差し替え・APN設定・本人確認が求められることもあり、初心者にはややハードルが高いかもしれません。一方、eSIMはAiraloやNomadなどのアプリで簡単にプラン購入から設定まででき、デジタル操作に慣れていれば10分程度で完了します。
6. 電話番号や通話はどうなる?
LINE通話だけで十分?それとも番号維持?
ローミングを利用すれば日本の電話番号がそのまま使えるため、SMSや音声通話も問題ありません。現地SIMやeSIMでは現地番号が割り当てられるか、もしくはデータ専用のため番号は使えません。通話やメッセージはLINEやWhatsApp、Instagram通話などアプリ経由が基本になります。
7. 複数国を巡る場合の注意点
ヨーロッパ旅行者は必読!
ローミングは国境を越えても同じ料金で使える場合が多いですが、現地SIMやeSIMでは国ごとに対応エリアが異なることに注意が必要です。特にヨーロッパのように複数国を短期間で移動する旅では、「欧州周遊対応eSIM」などを選ぶことで切替の手間を減らせます。逆に東南アジアのように通信事業者が国ごとに分かれる地域では都度購入が必要な場合もあります。
8. 紛失・盗難・故障時のリスクは?
トラブル対策にはバックアップ回線も
ローミングはキャリアサポートが使えるため、困った時の対応がスムーズです。現地SIMは購入元がサポートしないケースも多く、言語面での不安もあります。eSIMは端末自体にプロファイルが入るため、スマホを紛失すると再発行が難しいという問題があります。安全第一で行くなら、eSIM+ローミングの二重体制も検討の価値があります。
9. ビジネス・出張用途に最適な選択は?
連絡の確実性が最優先
商談や重要な業務連絡がある出張では、番号維持・通話対応・安定した速度が不可欠です。したがって、ローミングまたは日本の物理SIM保持+eSIMの組み合わせがおすすめです。例えば、日本のSIMはそのままにし、eSIMで現地のデータ通信をカバーすれば、柔軟に対応できます。
10. 出発前に確認しておくべきポイント
- スマホがeSIM対応端末か確認
- 日本のキャリアのローミングプランをチェック
- SIMフリー端末かどうかを確認
- 渡航先と滞在日数をもとに料金を比較
- バックアップの通信手段(Wi-Fiルーターなど)を用意
11. あなたに最適な通信手段はどれ?
結局のところ、どの通信手段が最適かは、旅行スタイルや予算、端末の仕様、通信の重要度によって異なります。短期旅行や不慣れな人にはローミング、長期旅行やコスパ重視ならeSIMや現地SIMが向いています。自分の旅に合った通信手段を選び、ストレスのない海外旅行を実現しましょう。
本記事は一般的な参考情報を提供するものであり、実際の料金やサービス内容は各キャリア・地域によって異なる可能性があります。旅行前には必ず最新情報をご確認ください。