ペットと一緒に家族旅行を計画する際は、楽しみな気持ちと同時に徹底した準備が欠かせません。単にペットを連れて行くだけでなく、旅行先での健康・安全・快適さまで考慮する必要があります。特に環境の変化に敏感な犬や猫にとって、準備不足はストレスや体調不良の原因になりやすいため注意が必要です。例えば日本動物愛護協会のアンケート調査では、「旅行中にペットが体調を崩した」「吠えや粗相が増えた」という声が全体の34%を占めていました。
1. 飼い主登録とワクチン接種証明を事前に確認
犬・猫の登録と予防接種（狂犬病、混合ワクチンなど）は、ペットを旅行に連れて行く前の基本条件です。登録されていないと迷子になった際の捜索が難しく、宿泊施設や公共施設によっては入場を拒否されることもあります。接種証明書は紙またはデジタル形式で携帯しておきましょう。
2. 移動用キャリーケースの選び方
移動中の安全確保とペットの快適性を考慮し、通気性と安定性の高いキャリーケースを使用しましょう。特に車での移動が中心となる日本国内旅行では、シートベルトで固定できるハーネスタイプのキャリーが便利です。慣れ親しんだブランケットやおもちゃを一緒に入れておくと、安心感を与えられます。
3. 旅行前に用意すべき持ち物リスト
- フードとおやつ（最低2日分の余裕を持つ）
- 携帯用食器（折りたたみ式がおすすめ）
- トイレシート・排泄用袋
- 普段使っている毛布やベッド
- 首輪・ハーネス・迷子札（連絡先入り）
さらに、応急処置セット、ペット用虫よけスプレー、スキンケアアイテムなどはペットの健康状態や行き先によって追加してください。
4. 宿泊施設予約時の確認ポイント
ペット同伴可の宿泊施設でも体重制限や犬種制限がある場合があります。また、1匹ごとに追加料金が発生することも珍しくありません。事前に以下の点を確認しましょう。
- 室内でのペット同伴可否（テラスのみOKなどのケースもあり）
- ペット用アメニティの有無（トイレ、サークル、専用タオルなど）
- ペットの鳴き声や抜け毛に関するハウスルール
5. 交通手段別のペット乗車ルール
新幹線や飛行機など、公共交通機関ではペット用キャリー必須です。JRの場合、長さ70cm以下・縦横高さの合計が90cm以内・重量10kg以内のケージであれば「手回り品」として持ち込み可能です。飛行機はANAやJALなどが有料でペット輸送を行っていますが、事前予約が必要で気圧や温度管理にも限界があるため、慎重に判断してください。
6. 野外活動時のダニ・蚊対策
キャンプや公園に行く場合、マダニや蚊による感染症リスクが高まります。特に春〜秋はSFTSやフィラリアなどのウイルス・寄生虫に注意が必要です。獣医師推奨のスポットタイプ虫除け薬や首輪タイプの防虫グッズを事前に使用し、皮膚や耳周辺に異常がないかチェックしましょう。
7. トイレトラブルを防ぐ工夫
環境の変化でペットが排泄を我慢したり失敗するケースがあります。移動中は定期的に排泄のタイミングを設け、消臭スプレー・除菌シートも忘れず携帯しましょう。宿泊先では床を傷つけないようにトイレシートを重ねて使用するのが安全です。
8. 緊急時に備えた応急処置用品と連絡先
- ペット用の解熱剤・下痢止め・抗炎症軟膏
- ガーゼ・包帯・体温計
- 洗眼液・耳洗浄液
加えて、旅行先近隣の24時間対応の動物病院を事前に調べておきましょう。Googleマップや「EPARKペットライフ」で地域ごとの病院検索が可能です。
9. 季節ごとの温度管理に注意
日本は季節ごとの気温差が大きく、特に夏は熱中症に注意が必要です。短頭種（フレンチブルドッグやペキニーズなど）は特に暑さに弱いため、クールマットや保冷剤、日陰確保が必須です。冬は保温ウェアや肉球用の保護クリームを活用しましょう。
10. ストレスサインを見逃さない
旅行中、ペットが普段と異なる行動（吠え続ける、食欲不振、しっぽを巻くなど）を示す場合は強いストレス状態です。触れ合いの時間を設けたり、静かな環境を整えることで落ち着かせましょう。特に子ども連れの家族は、ペットへの過剰な接触を避けるため、家庭内のルール共有が必要です。
11. ペット旅行向けアプリや情報サイトの活用
「ドッグフレンドリー」、「ペットと泊まれる宿」など、ペット同伴OKの施設を検索できるアプリやサイトが充実しています。口コミや利用体験が掲載されているため、実際の雰囲気も事前に把握しやすいです。また、インスタグラムのハッシュタグ「#ペットと旅行」などから情報収集するのも有効です。
12. 長距離運転中のケアポイント
車での長時間移動は2〜3時間おきに休憩と軽い散歩を取りましょう。SAや道の駅では「ペット休憩所」が設けられている場所もあるため、立ち寄りポイントとして活用できます。なお、炎天下の車内放置は命に関わる事故につながるため絶対に避けてください。
13. 帰宅後の健康チェック
旅行後の2〜3日は疲れや環境変化により体調を崩しやすい期間です。嘔吐、下痢、発熱、皮膚炎などが見られた場合はすぐに動物病院へ。特に野外で遊んだ場合はダニの咬傷の有無を必ず確認しましょう。
14. 家族内の役割分担と連携
全員で楽しい旅行にするには、家族間でペット担当を明確化することが重要です。1人が全てを抱えるとトラブルや疲労の原因となるため、食事・排泄・遊びの担当を分けるなどの工夫が必要です。特に多頭飼育の場合は、個体ごとの性格に応じて細かく分担しましょう。
15. 帰宅後の生活リズムのリセット
旅行から戻ったら日常のルーティンを早めに取り戻すことが、ペットの精神的安定につながります。食事時間や散歩ルートを通常通りに戻し、旅行中に使ったタオルや寝具は洗濯して清潔に保ちましょう。旅行の思い出と共に、日常生活へのスムーズな移行を心がけてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の健康状態や行動傾向によっては内容が適さない場合もあります。ペットの健康に不安がある場合は必ず獣医師にご相談ください。