最近パソコンの動作が遅くなったと感じたことはありませんか?新しいパソコンを購入する前に、まずは今の環境を見直すことで、驚くほどの改善が見込めることがあります。特にWindowsパソコンをお使いの方であれば、初心者でも簡単にできる設定やメンテナンスによって、動作速度が大幅に向上する可能性があります。ここでは、日本の一般ユーザーの環境に合わせて、知識がなくてもすぐに実行できる9つの対策を、実例とあわせて紹介します。
スタートアッププログラムを停止して起動時間を短縮
パソコンが重くなる最大の原因のひとつは、起動時に自動的に立ち上がるプログラムの多さです。これらがバックグラウンドで動作することで、CPUやメモリを圧迫し、起動時間や全体的な動作が遅くなります。
- Ctrl+Shift+Escで「タスクマネージャー」を開く
- 「スタートアップ」タブを選択
- 使用頻度の低いプログラムを右クリックで「無効」に設定
ある会社員の例では、9個のスタートアッププログラムを3個に減らしただけで、起動時間が約40秒から15秒まで短縮されました。不要な自動起動アプリを整理するだけで、大きな体感差が得られます。
ディスククリーンアップで容量を確保
HDDやSSDの空き容量が不足すると、OSの動作にも影響を与えます。特に一時ファイルやキャッシュ、古いバックアップデータなどが蓄積されていると、パフォーマンスが著しく低下します。
- 検索窓に「ディスククリーンアップ」と入力し起動
- ドライブを選び、削除したい項目(ごみ箱、一時ファイルなど)を選択
- 「システムファイルのクリーンアップ」も実行
定期的なクリーンアップによって、不要ファイルを除去し、快適な動作を維持できます。
電源プランを「高パフォーマンス」に設定
ノートPCや一部のデスクトップでは、バッテリー寿命を重視した「バランス」設定になっていることがあります。パフォーマンスを優先したい場合は、「高パフォーマンス」モードへ変更することをおすすめします。
- 「コントロールパネル」→「電源オプション」
- 「高パフォーマンス」もしくは「最大のパフォーマンス」を選択
- 「詳細設定」からプロセッサの最大状態なども調整可能
動画編集やゲームプレイ時に特に効果的で、処理速度の安定性も向上します。
ウイルス・マルウェア対策を徹底
不審な動作や急激な速度低下は、マルウェアやスパイウェアの存在が原因のこともあります。日本国内でもサイバー攻撃件数は年々増加しており、IPA(情報処理推進機構)の報告によると、企業だけでなく個人の被害も顕著です。
- 「Windows セキュリティ」→「ウイルスと脅威の防止」からクイックスキャンを実行
- MalwarebytesやAdwCleanerなどの無料ソフトを併用
特に広告が勝手に表示されるような現象は、マルウェアの兆候と考えて良いでしょう。
視覚効果をオフにして動作を軽くする
Windowsは視覚的に美しいアニメーションや影の効果を多用していますが、低スペックPCではこれが動作の足を引っ張る原因となります。
- 「システムのプロパティ」→「詳細設定」→「パフォーマンス設定」
- 「パフォーマンスを優先する」にチェック
特に4GB以下のメモリ環境では、この設定だけでも反応速度が体感で2倍以上改善されるケースがあります。
Windowsおよびドライバの更新を忘れずに
OSや各種デバイスドライバが古いままだと、バグや互換性の問題で動作が遅くなることがあります。常に最新バージョンを保つことで、不具合や脆弱性も予防できます。
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「更新プログラムの確認」
- グラフィックカードなどは製造元サイト(例:NVIDIA、Intel)から直接確認
たとえばGeForce搭載PCであれば、「GeForce Experience」アプリを使えば簡単にアップデート可能です。
仮想メモリを適切に設定してメモリ不足に対応
RAM(メモリ)が不足しているとき、Windowsは仮想メモリ(ページファイル)を使用します。しかしこの設定が最適でないと、動作がさらに遅くなる可能性があります。
- 「システムの詳細設定」→「パフォーマンス」→「仮想メモリ」
- 自動管理をオフにし、初期サイズを物理メモリの1.5倍、最大サイズを3倍に設定
メモリが4GB以下のPCでは、この設定変更だけでフリーズが劇的に減ることがあります。
ブラウザのキャッシュ・拡張機能を整理
インターネットをよく使う方は、ブラウザのキャッシュや不要な拡張機能が溜まりやすく、それが動作遅延の原因となります。
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「閲覧履歴とキャッシュの削除」
- 「拡張機能」から不要なアドオンを無効化または削除
Chromeでは広告ブロッカーやパスワード管理系が重くなることが多く、3個以内に制限するのが理想です。
SSDへの換装で物理的に性能向上
上記の対策でも改善が見られない場合、HDDからSSDへの換装が最も効果的な選択肢です。2024年時点で、国内では256GBのSATA SSDが4,000〜6,000円程度で購入可能です。
- SSD(SATAまたはM.2)を購入し、換装
- OSをクリーンインストール、または専用ツールでクローン作成
ビックカメラやパソコン工房などでの検証によると、起動時間が1分以上から10秒未満に短縮された事例も多く報告されています。
定期的なメンテナンスを習慣化
一度改善しても、時間が経つにつれて元に戻ることもあります。月1回以上の定期的なメンテナンスを推奨します。
- ディスククリーンアップ、更新プログラムの確認、ウイルススキャン
- クラウドストレージや外付けHDDで常に空き容量を確保
これを習慣化することで、安定した快適なパソコン環境を長期間保つことができます。
今回紹介した方法は、すべて専門知識不要で実践できるものばかりです。ハードウェアの買い替えを検討する前に、まずはこれらを試してみる価値があります。順を追って1つずつ実行することで、パソコンの速度は確実に改善されるはずです。
※ 本記事は日本国内の一般家庭向けパソコンを対象にした実用情報です。結果は使用環境によって異なる場合があります。