日常に潜むサイバーリスク:あなたは本当に備えていますか?
スマートフォンやノートパソコンが生活の中心となっている現代、サイバーセキュリティは「あると便利」ではなく「必須」です。日本の総務省とIPA(情報処理推進機構)の報告によると、2024年の個人情報漏えい件数は前年比で30%以上増加しています。その多くは、ユーザー自身の油断や誤操作によるものでした。
例えば、東京都内に住む会社員の女性は、宅配業者を装ったSMSを受け取り、記載されたリンクをクリックしてしまいました。その結果、スマートフォンに不正アプリがインストールされ、銀行口座に不正アクセスされてしまいました。セキュリティに無関心だったわけではありませんが、たった一度のクリックで大きな損失を被ったのです。
1. パスワードは長く複雑に、使い回し禁止
総務省の調査では、多くの人が複数のサイトで同じパスワードを使い回していることが分かっています。これは攻撃者にとって絶好の狙い目です。
- 各サービスで異なるパスワードを使用する。
- 12文字以上で、英大小文字、数字、記号を組み合わせる。
- 定期的に変更すること。
- 1PasswordやBitwarden、LastPassなどのパスワード管理アプリを活用しましょう。
2. 二段階認証を必ず有効に
パスワードだけでは不十分な時代です。二段階認証(2FA)を使えば、たとえパスワードが漏れても不正ログインを防げます。
- Google AuthenticatorやMicrosoft Authenticator、IIJ SmartKeyなどのアプリを使用。
- 銀行、メール、SNS、クラウドなど、重要なアカウントには必ず設定しましょう。
3. 公共Wi-Fiは危険を理解した上で利用を
カフェや駅などのフリーWi-Fiは便利ですが、セキュリティが脆弱な場合があります。「なりすましアクセスポイント」による盗聴被害も発生しています。
- 公共Wi-Fiではネットバンキングや個人情報の入力を避ける。
- モバイル通信やVPN(ExpressVPN、NordVPN、スイカVPNなど)を活用。
- 自動接続をオフに設定し、不審なネットワークは避けましょう。
4. メールやSMSのリンク・添付ファイルに注意
フィッシング詐欺は年々巧妙化しています。宅配業者、携帯キャリア、税務署などを装い、不安を煽ってクリックを誘導します。
- 差出人のメールアドレスを確認。
- リンク先を事前にマウスオーバーして確認。
- 添付ファイルは開く前にウイルススキャン。トレンドマイクロやESETが有名です。
5. スマートフォンは「財布以上の個人情報端末」
スマホは銀行アプリ、メール、写真、SNSなど、多くの個人情報を保持しています。
- アプリは必ずGoogle PlayまたはApp Storeからダウンロード。
- ウイルス対策アプリ(ウイルスバスター、ノートンモバイルなど)を導入。
- アプリの権限(位置情報、カメラ、マイク等)を定期的に見直しましょう。
6. バックアップは最終防衛線
ランサムウェアに感染した場合、データを失う可能性があります。バックアップがあれば復旧可能です。
- Googleドライブ、Dropbox、iCloudなどのクラウドを活用。
- 外付けHDDやNASなどローカルバックアップも併用。
- バックアップファイルも暗号化やパスワード保護を忘れずに。
7. SNSでの情報発信は慎重に
投稿した写真や内容から、誕生日、家族構成、住居エリアなど多くの個人情報が読み取れます。
- 投稿の公開範囲を「友達のみに」設定。
- 写真に位置情報が含まれていないか確認。
- お子様や高齢の家族にも情報共有の危険性を説明しましょう。
8. アップデートはすぐに実施
OSやアプリのアップデートは、既知の脆弱性を修正するための重要なプロセスです。
- 自動アップデートをONに。
- サポート終了製品は早めに乗り換えを検討。
9. 日々の「デジタル衛生習慣」を身につけよう
最も重要なのは「人の意識」です。どんなに優れた技術でも、使う人の注意力が欠けていれば効果は限定的です。
- 毎月一度はパスワード・アプリ・権限の点検を。
- IPA、総務省、日経クロステック、ITmediaなどの情報をチェック。
- 家族や同僚にもサイバーリテラシー向上を呼びかけましょう。
今こそ、自分のデジタルライフを守る行動を
サイバー攻撃は誰にでも起こり得ます。大切なのは、「起きてから対処する」ではなく「起きる前に備える」こと。今日からでも始められる簡単な習慣で、大切な情報と財産を守りましょう。