セーター・ニットが縮まない洗濯＆保管の正解は？プロが教える家庭でできるベスト対策

なぜお気に入りのセーターは縮んでしまうのか

セーターやニットは日本の冬に欠かせないアイテムです。しかし、毎年「洗濯したらサイズが小さくなった」「お気に入りが台無しになった」という声を多く耳にします。実際、クリーニングに出すのが面倒で家庭で洗う方が増えていますが、失敗の多くは“基本”の見落としが原因です。

ウールやアクリル、カシミヤなどのニットは撚りのある糸をゆるく編み上げた構造です。この構造が柔らかな着心地と同時に「熱」「摩擦」「水分」にとても敏感という弱点も持っています。日本の一般家庭用洗濯機は回転力が強く、つい高温設定を選びがちですが、これが縮みの主因となります。

まず必ず品質表示タグをチェックしてください。「手洗い」「ドライ」などと書かれている場合、それに従うことが失敗しない第一歩です。最近では日本繊維製品品質技術センターなどでガイドラインも出ています。

冷水（20℃以下）でやさしく手洗いするのが理想です。どうしても洗濯機を使う場合は「ドライコース」や「おしゃれ着コース」を必ず選びましょう。洗剤はウール専用の中性洗剤を使い、洗濯時間は短めに。漂白剤や柔軟剤の多用は避けます。

洗濯ネットに畳んで入れ、回転数が少ないコースを選ぶことで摩擦・型崩れを大きく防げます。脱水は極力短く、1分以内で済ませ、タオルにくるんで水分を取ると生地が傷みません。

水を含んだ状態で吊るすと型崩れや「伸び」の原因になります。必ず平干し（平らなネットやバスタオルの上）で自然乾燥させましょう。日本の住環境では浴室乾燥機や除湿機の利用も効果的です。

湿気の多い日本ではカビ・虫食い対策が大切です。完全に乾かした後、通気性の良い衣類用保存袋やジッパーバッグで保管。市販の防虫剤や乾燥剤を併用するのが推奨されています。

セーターやニットは畳んで収納するのが型崩れ防止に最適です。衣装ケースやタンスに収納する際は、間に和紙やティッシュを一枚挟むと静電気や埃の付着を防げます。

シーズンオフの衣替え時は、着用後すぐにしまわず、半日ほど陰干しして湿気を飛ばしましょう。定期的に収納ケースを開けて換気することで、カビの発生リスクを下げられます。

完全に元通りにするのは難しいですが、30℃以下のぬるま湯にベビー用シャンプーや専用柔軟剤を溶かし、20分ほど浸けた後、やさしく伸ばしながら平干しすれば、多少サイズが戻る場合もあります。

おしゃれ着用中性洗剤やベビー用洗剤（無香料・無添加）でも代用可能です。ただし、量は控えめにし、十分にすすぐことが重要です。

洗濯ネット利用・裏返し洗い・弱水流コースが毛玉防止の基本です。直射日光は避け、陰干しや乾燥機の使用を控えましょう。

東京都在住の主婦Bさんは、安価なニットを気軽に洗濯機にかけて縮ませてしまったことがありました。以来、手洗い＆平干しのルーティンを徹底し、高価なカシミヤセーターも数年愛用できています。

「セーター・ニット類は洗濯の際は水温・洗剤・乾燥法を守るだけで劇的に長持ちします。保管時は必ず湿気と虫害の対策を」と専門家はアドバイスしています。

少しの工夫でセーターやニットは何年も新品同様に楽しめます。日々のケアと正しい知識で、冬のおしゃれをもっと快適にしましょう。

本記事の情報は一般的な家庭の生活ガイドであり、ご購入商品のタグや公式ガイドラインに必ず従ってください。